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並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性(東京都庭園美術館) [美術展]

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並河靖之七宝展 明治七宝の誘惑ー透明な黒の感性
2017年1月14日(土)~4月9日(日)
東京都庭園美術館

あまりに美しい藤の花瓶のチラシ写真に引かれて足を運びました。並河靖之は明治期に京都を中心に活躍した七宝家だそうです。気が遠くなるような手仕事から生み出された洗練されたデザインと美しい色彩の七宝にため息をつきながら鑑賞しました。靖之が発明したという「黒色透明釉薬」の吸い込まれそうな漆黒の地に藤花の花びら一枚一枚が浮かび上がる。どれだけの手間と時間がかかっているのでしょう。効率重視の現代ではとてもまねができません。並河の名前も一度は忘れられてしまったというけれど、時間を超えて残っていく作品です。

晩年になると作風ががらりと変わって、水墨画風のもやっとした風景画がモチーフとなります。昨年、サントリー美術館でみた宮川香山も同じように若い頃の細密技巧から晩年はもやっとした作風に変わっていましたが、年を取るとそういう風になるものなのでしょうか。今の私は精緻な作品の方にグッとくるのだけれど、年を重ねると好みが変わってきたりするのかもしれません。

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図書館所蔵の国宝・重要文化財(早稲田大学) [美術展]

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早稲田大学中央図書館開館25周年記念展示
第1期 図書館所蔵の国宝・重要文化財
2017年3月17日(金)~2017年4月5日(水)
早稲田大学総合学術情報センター

早稲田大学図書館では国宝2点、重要文化財5件の指定文化財を所蔵しているそうです。国宝は中国唐代の写本『礼記子本疏義 第59』と『玉篇 巻第9』の2点。およそ10年ぶりの公開です。国宝制覇を念頭に足を運びましたが、漢字が並んでいるだけで何が書いてあるのかよくわからないし、美しくもないし、このたぐいの書籍は鑑賞ハードルが高いです。でもとても丁寧な解説が付されていて、なんとなくその貴重さは伝わってきました。

興味深かったのは仏師運慶の自筆文書。運慶の娘・如意が養母である冷泉局から近江国愛知郡香庄を伝領することを父・運慶が保証する内容だそうです。運慶と貴族との結びつきが知れて興味深いし、その「字」が自由気ままな筆運びで運慶の人柄がうかがえました。


タグ:国宝
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江戸の絶景~雪月花(太田記念美術館) [美術展]

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江戸の絶景~雪月花
2017年2月3日(金)~3月26日(日)
太田記念美術館

美術館での絶景めぐり。日本人が大好きな「雪」「月」「花」をテーマにした浮世絵の展覧会です。風景といえば歌川広重。構図の切り取り方が抜群です。他の浮世絵師との差が歴然としていました。

「雪」「月」「花」の中でもいいなぁと思うのは、決まって「雪」。自分の雪好きを再確認しました。これもやはり広重。ちらしの「名所江戸百景 深川洲崎十万坪」、三枚続きの「木曽路之山川」、すごくいいです。静まり返ったたんなる雪景色ではなく、猛々しい「鷹」や壮大な「雪山」とのコントラストが効いています。

あと、「月」のコーナーでのこと。ずらーっと広重の「満月」の作品が続いている展示ケースに、突然「三日月」が…。めずらしいと思ったら、河鍋暁斎の「東海道名所之内 比叡山」でした。やっぱり暁斎は一筋縄ではいかないです。

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高麗仏画 香りたつ装飾美(根津美術館) [美術展]

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特別展 高麗仏画 香りたつ装飾美
2017年3月4日(土)〜3月31日(金)
根津美術館

昨秋、京都の泉屋博古館でその美しさに嘆息した「高麗仏画」展(そのときの記事)。東京では根津美術館に巡回があったんですね。出品作はほぼ同じですが、講演会「仏の祈りでたどる高麗史」があることを知って、申し込みしてみました。あんな優美な仏画を生んだ高麗とはどんな国だったのか、知りたいと思っていたのでちょうど良い機会でした。

約400年続いた王朝で仏教が篤く信仰されていたというWiki情報から、勝手に徳の高い平和な国家なのかと想像していました。でも、講演会のお話では、実際は全く真逆で周辺諸国との戦いや国内の反乱が頻繁にあったそうです。特に「高麗仏画」が描かれた14世紀初頭は元の支配下にあったため、元朝宮廷の政争に巻き込まれ、高麗国内もぐちゃぐちゃに込み入った紛争が続いていたらしい。がっかりというか、やっぱりというか、平和を願う気持ちが強かったからこそ、あそこまで手の込んだ仏画が生まれたのでしょうね。そう知って観ると「水月観音像」や「阿弥陀如来像」も優美というよりは、そこに込められた切羽詰まった鎮護国家の祈りの方を強く感じました。


タグ:仏画
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久しぶりの歌舞伎鑑賞「義経千本桜 渡海屋大物浦」(歌舞伎座) [古典芸能]

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三月大歌舞伎 昼の部
義経千本桜 渡海屋・大物浦
平成29年3月3日(金)~27日(月)

先月の文楽鑑賞(そのときの記事)に続いて、歌舞伎鑑賞。歌舞伎を見るのは10年ぶりぐらい。古典芸能には縁遠いまま年月が過ぎました。もうそろそろ年も年だし、自分自身が古典を面白いと思える準備ができていればいいなぁと思って、今年の「やることリスト」に古典芸能鑑賞を入れました。文楽はあまり感情移入できなかったので、楽しめるかどうかおそるおそるの歌舞伎です。お得な幕見席で一幕だけ鑑賞しました。

演目は文楽でみた「平家女護島(へいけにょごのしま)」と同じく平家物語から題材をとった「義経千本桜 渡海屋大物浦(とかいやだいもつのうら)」にしました。新聞の評論がよかったのと、前田青邨の日本画「大物浦」(山種美術館)でなじみがあったから(そのときの記事)です。でも知盛役の片岡仁左衛門が片岡孝夫と同一人物とは、見た後に調べて知ったぐらい。先入観なくまっさらな状態でした。

結局どうだったかというと、とっても楽しめました。とにかく役者さんがみなさん芸達者で、歌と踊りの要素もあってミュージカルみたい。コミカルな場面もあるし、義理人情もある。そして最後の知盛の身投げの場面では泣きそうになりました…。というのも、この新しい歌舞伎座の舞台に立つことが叶わなかった中村勘三郎や市川團十郎のことが思い浮かばれて、平家の生き残りの「知盛」が歌舞伎役者の生き残りの「仁左衛門」と重なってしまったのです。なんだか片岡仁左衛門の先人への慰霊のような「大物浦」のように感じられました。


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草間彌生 わが永遠の魂(国立新美術館) [美術展]

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国立新美術館開館10周年 草間彌生 わが永遠の魂
2017年2月22日(水)~5月22日(月)
国立新美術館

狂気的な画家は苦手。ゴッホやムンクの展覧会で気持ち悪くなった既往歴もあり、今回も良くない兆候があったらすぐに退室する心積もりで用心深く足を進めました。正直、恐いもの見たさ半分です。でも結局、気分が悪くなるようなことはなく、なんだか心地よささえ感じる始末。ちょっと意外な展開でした。

最初の展示室に入ると、大きな空間の壁一面に所狭しとカラフルな水玉やペイズリー様の抽象画が100点以上。展覧会のタイトルにもなっている草間彌生の最新シリーズ「わが永遠の魂」です。一瞬、ううっ、と息が詰まって、さっさと次の展示室へ。

ここからは最初の大部屋を取り囲むように初期の作品からテーマごとの小部屋が左回りに配置されていて、最後、大部屋に戻ってくるようになっていました。小さな展示室に「ネットペインティング」や「黄樹」など同じシリーズの作品が並んでいると、なぜか居心地が良い。パワーのある草間作品は見せ方によって印象も大きく違いそう。部屋ごとにテーマが整然と整えられていて、よく練られた展示構成です。

好きだった作品は「生命の輝きに満ちて」というインスタレーション。全面鏡ばりの暗闇の中、無限に広がる空間に豆電球が赤、青、黄、緑と色を変えながら点滅をくり返します。仕掛けはごくシンプルなんだけど、草間作品の特徴である「繰り返し」のモチーフをまさに体感できる空間です。

最後、再び大部屋に戻ってきたときは、アレルギー反応なく無事に鑑賞が完遂できたことにほっとしながら、「わが永遠の魂」シリーズをちゃっかりと写真に収めるまでになっていました。強迫観念から生まれた作品なのにマイナス面に陥ることなく、その観念を肯定的に謳歌している様が気持ち悪くならずにすんだ要因のようです。


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神奈川の秘仏開帳巡り ②龍峰寺(海老名市) [寺・神社]

海老名には相模国の国分寺・国分尼寺があったそうです。海老名がそんな古い歴史を持つとは知りませんでした。白洲正子が「国分寺のあるところは、どこでも眺めのいい場所」(西国巡礼)と記しているとおり、海老名の国分寺跡地も西に大山を遠望するとても気持ちのいい場所でした。

龍峰寺は国分寺跡から歩いて15分ほど、清水寺公園内にあります。清水寺(せいすいじ)は国分尼寺境内にあった湧河寺がその前身だそう。その名前から京都の清水寺と同じように水が湧き出る場所だったのでしょう。明治の廃仏毀釈でなくなってしまいますが観音堂は残され、龍峰寺に組み込まれました。その観音堂に祀られているのがその名のとおり「清水寺式千手観音」。脇手の一組を頭上に組んで化仏を戴くお姿で、像高が2m近くもある立派なお像です(毎年3月17日とお正月に開帳)。法被を着た地域の方々がご開帳を取り仕切られていて、観音堂で立ち合いされているおじさんが「どこから来たの?」「写真もいいよ~」なんて気軽に声をかけてくれました。そして、おそらく昔と変わらない大山の雄姿がここ龍峰寺からも望まれました。

新羽の西方寺にしても、海老名の龍峰寺にしても、通勤圏の住宅街にこんな古い歴史を持つお寺や仏像が残されているなんて、関西の仏像めぐりでは味わうことのない新たな気づきでした。日常のなかにひょっこりと顔をのぞかせるいにしえの気配。帰りの小田急線に揺られながら、とても穏やかな気持ちになりました。


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相模国国分寺跡から望む大山


タグ:秘仏 開帳
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神奈川の秘仏開帳巡り ①西方寺(横浜市港北区) [寺・神社]

3月17日、神奈川の2ヶ寺で秘仏のご開帳がありました。住宅地の真っただ中のお寺に、思った以上に出来の良い仏像が守り伝えられていて、なにもしていないけれど県民として誇りに思えます。

まずは横浜市営地下鉄ブルーライン 新羽駅下車徒歩5分の西方寺へ。周辺は港北ニュータウンの新興住宅地かと思っていましたが、「新羽」という地名は鎌倉時代にさかのぼるそう。室町時代、鶴見川を通じて鎌倉との行き来があった場所にお寺が建てられたみたいです。その西方寺は参道からして雰囲気がよく、山門も本堂も茅葺屋根。古寺の趣きが濃厚に残っていて、なんだか奈良に旅行に来たみたいでした。

ご開帳は平安末期の作とされる秘仏 十一面観音菩薩立像。西方寺が新羽に移ってきた以前からこの地に伝えられていたそうです。東日本大震災で破損し、修復を終えてお帰りになられた記念のご開帳。とても穏やかな立ち姿で、地方仏の粗忽な感じはなく、素朴ながらやさしくて心安らぎました。この修復を機に後補の漆箔が除かれて、修復前の写真のお姿からはかなり印象が変わられています。平安時代から守り伝えられてきた観音さまが大震災をきっかけに本来の姿に戻られたと思うと、ご開帳の重みがしみじみと感じられました。

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西方寺の参道



タグ:秘仏 開帳
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