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武士と印刷(印刷博物館) [美術展]

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2016年10月22日(土)~2017年1月15日(日)
印刷博物館

印刷博物館なんてあるんですね。経営母体は凸版印刷だそうです。印刷に関わるさまざまな資料が展示されています。企画展示の「武士と印刷」展。無関係に思える武士と印刷ですが、ちらしには「摺られた武士」(=浮世絵の武者絵)と「刷らせた武士」(=藩政の印刷物)とありました。うまいこといいます。

「摺られた武士」の武者絵には実在の歴史上の人物もいれば、物語世界のヒーローもいますが、一様に猛々しくて躍動感にあふれていてかっこいい。一方、「刷らせた武士」は同じ武士でも今でいうところのただのサラリーマンだから、上司に指示された書類をせっせと作るのが仕事。これが「刷らせた武士」の実態なんですね。このギャップの大きさが面白かったです。考えてみれば、徳川時代の約250年間、戦がなかったのだから「武士」といっても実のところは「文士」だったということですね。

そりゃあ武者絵の方が楽しいし、藩政の印刷物なんて地味でつまらないけれど、サラリーマン武士の仕事ぶりには感心させられました。みんな真面目に頑張っています。そして武士が真面目に仕事をこなして平和が維持されていたからこそ、浮世絵が生まれたのだから、武者絵を楽しめるのも武士のおかげといえそうです。



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春日若宮おん祭り 還幸の儀 [寺・神社]

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午後11時、お旅所祭のすべての芸能が終わり、若宮社へお戻りになる還幸の儀。雅楽と警蹕(みさき)の声の中、榊にお姿を隠した若宮様がお旅所を出られるときには、周囲から自然と柏手が打たれました。私もなんだか知らないうちに同調していました。2日間の神事を少し垣間見ただけですが、理屈ではなく、確かにそこに若宮様がいらっしゃると思えたのです。

若宮社に戻られてからもいくつかの儀式があり、ホテルに戻ったのは昨夜と同じ2時前。初めてのおん祭りが終わりました。寒いし、眠いし、奉納はよく見えないし、立ちっぱなしだし、なかなかの悪条件。でも、目の前を若宮様が行くときと帰るときの神々しさは何物にも代えがたい。有料席を購入すれば、悪条件のいくつかは解決されるのですが…。いつか真っ暗闇の新月の年の遷幸の儀を感じてみたいです。


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おん祭と春日信仰の美術(奈良国立博物館) [美術展]

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平成28年12月10日(土)~平成29年1月15日(日)
奈良国立博物館

お旅所では午後3時30分から10時30分まで7時間にもわたり、田楽や舞楽の奉納が続きます。若宮様もなかなかのハードスケジュール。できればすべてお付き合いしたいけれども、外は凍える寒さだし、座るところもないし、さすがにつらい。それで困ったときの奈良国立博物館へ。お旅所の目の前にあって、今日は無料で20時まで開館しています。毎年恒例のおん祭り関連の特別陳列で勉強もできて一石二鳥です。

今年は奈良奉行所とおん祭りの関わりがテーマ。松の下式を見学する奉行所が占めている場所は、今の有料観覧席(ちなみに3,500円)の特等席でした。暖かい展示室にいながら春日曼荼羅や春日絵巻でおん祭り気分を堪能。お旅所では舞楽の奉納が続いていて、鼉太鼓(だだいこ)の音が展示室まで響いてきました。


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春日大社とおん祭(入江泰吉記念奈良市写真美術館) [美術展]

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2016年11月3日(木・祝)~2017年1月22日(日)
入江泰吉記念奈良市写真美術館

昨夜、おん祭りの遷幸の儀からホテルに戻ったのが午前2時過ぎ、就寝は4時。さすがに行動開始は昼過ぎになり、三条通りはちょうどお渡り式の行列で賑わっていました。今日はまず、入江泰吉記念奈良市写真美術館の「春日大社とおん祭」展へ。昭和30年代のモノクロ写真が多かったのですが、行事は1000年続いてきたものだからそれほど大きな変化は感じられませんでした。沿道の人々が着物姿だったり、子どもがいがぐり頭だったり、商店街の街並みが変わっていたりするけれど、奈良の町だと全く違和感なくかえって昔の風景の方がしっくりきます。猿沢の池の側から三条通りを写した写真にあった「FUJIFILM」の看板、帰りにその場所を確認してみたら今もそのまま残っていてちょっと感動しました。

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春日若宮おん祭り 遷幸の儀 [寺・神社]

おん祭り2016.jpg

東大寺を後にして、春日大社へ。若宮社ではおん祭りの準備が進んでいました。春日大社の本殿も中には入れませんでした。新しい国宝館を見学してからいったんホテルに帰り、夜中の遷幸の儀に備えて仮眠をとりました。

遷幸の儀は午前0時に始まります。灯りの消えた参道で待っていると、遠くから笛の音がかすかに聞こえてくる…。その音が大きくなるにつれて、「うおー」という掛け声が迫ってきます。これがまるでサイレンのよう。緊急事態を発信する音って昔も今も変わらないんですね。続いて煙とともに赤い松明が近づいてきて、目の前に2本の赤い線を残して去っていきました。御旅所までご一緒させていただき、真夜中、凍えながら奉納される神楽を遠くから眺めました。今年はお月様がほぼ満月だったので明りには困りませんでしたが、新月の暗闇の中の遷幸の儀もみてみたいです。


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師走の奈良旅行 法華堂の憤怒像 [仏像・仏画]

開山堂をでた後、二月堂にお参りしてぶらぶらしていたら、二月堂の裏側に不動堂を発見。二月堂には何度も来ているけれど、初めて知りました。東大寺は奥が深いです。ちょうど護摩焚きの最中。毎月3回(10、18、28日)行われているみたいなので、いつか参加したいです。

不動堂から階段を下りると法華堂(三月堂)。こちらの仏さまたちは、皆さん揃ってとにかく大きい。3mを越える仏像が9躯もいらっしゃって、そのうち憤怒像が6躯。すごい迫力と圧迫感です。いつもは正面からしか拝顔できませんが、今日は背面の厨子にいらっしゃる秘仏 執金剛神像の御開帳のため、横顔や後ろ姿をじっくりと拝することができました。その大きさと形相ゆえ「精緻」という言葉は似合わないけれど、単眼鏡でみると大きさが相対化されて、精緻を極めた彫像だということがよくわかります。戒壇院のイケメン四天王に比べると見劣りするかと思っていましたが、法華堂の四天王像と金剛力士像も実は端正でかっこいいです。

本日最後の秘仏 執金剛神像は大きな口を開けて歯を見せて、かなり激怒されていました。ただ事ではない怒り具合。あまり頻繁にはお会いしたくないほどで、秘仏でいらっしゃるのもうなずけました。



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師走の奈良旅行 良弁僧正坐像 [仏像・仏画]

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良弁僧正は東大寺の創建に尽力された初代別当。赤ちゃんのときに鷲にさらわれ、杉の木に引っかかっているところを義淵僧正に助けられたという伝説の持ち主です。その杉の木が東大寺二月堂の前に1本ぽつんと生えている良弁杉(代替わりしていますが)。二月堂の向かいにある開山堂に良弁僧正坐像(国宝)が安置されています。

先ほどお会いした鎌倉時代の重源上人からさかのぼって約400年、良弁僧正は奈良時代の人物。重源上人坐像はリアルの極みともいえる肖像彫刻ですが、良弁僧正坐像は平安時代中期のものなので実際のお姿を写したものではなく、ある意味、理想のお姿です。秘仏なので彩色もよく残っていて、古びた感じはせず、若々しい。整ったお顔で昔の俳優さんにいそうな感じです。若い時の高倉健とか渡哲也かな。胸板も厚くて引き締まった体躯。体育会系でかっこいいです。重源上人は腰の曲がったしわしわのお爺さんなので、ちょっと格差が大きいなぁ。


タグ:国宝
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師走の奈良旅行 俊乗房重源上人坐像 [仏像・仏画]

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12月16日は東大寺で国宝の秘仏開扉が3つあります。今年、念願かなって拝観することができました。まずはいつもなら素通りしてしまう「鐘楼の岡」へ。大仏殿から二月堂に登る途中の広場に巨大な大鐘(国宝)があり、その鐘楼脇の「俊乗堂」に俊乗房重源上人坐像(国宝)がいらっしゃいます。

この重源上人さまは鎌倉時代に東大寺の復興のため全国を勧進されたお坊さん。現代になっても生前と同じように各地を巡回されていて、これまで博物館や美術館で何度かお会いしたことがありました(そのときの記事(1)(2))。お堂ではお厨子に入って少し高い位置にいらっしゃり、正面から見上げるかたちで拝することになります。スポットライトに全身をさらされた展覧会のお姿とは違って、とても落ち着いて威厳が感じられました。全国を巡回されている重源上人を思えばこそ、お厨子の重源上人に対して畏敬の思いがわいてきます。

また、重源上人と交友のあった仏師 快慶作の阿弥陀如来立像が重源上人坐像の向かって右側に安置されていました。すっかり快慶の魅力にやられてしまっている私はこの阿弥陀さまにも完全ノックアウト、麻薬物質でも発しているんじゃないかと思うほど、なすすべもなく惹きつけられてしまいました。ここで出会えるとは思っていなかったし、不意を突かれていい意味でダメージ(喜び)が大きかったです。

タグ:国宝
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日本の伝統芸能展(三井記念美術館) [美術展]

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2016年11月26日(土)~2017年1月28日(土)
三井記念美術館

美術館の展覧会には足しげく通っていますが、伝統芸能の劇場はほとんど行ったことがありません。お能や歌舞伎の演目が絵に描かれることも多いのですごく興味はあるのですが、日時を決めてチケットを取らないといけないし、ストーリーについていけるかどうか…。時間とお金を使って楽しめなかったらと思うと、躊躇して第一歩が踏み出せません。

この展覧会では「雅楽」「能楽」「歌舞伎」「文楽」「演芸」「琉球芸能・民俗芸能」の6つの伝統芸能が取り上げられていました。意外にも印象に残ったのは「雅楽」の舞楽。浮世絵の歌舞伎を別にすると、絵のモチーフとして最も描かれているのではないかしら。真っ先に思い浮かんだのが俵屋宗達の「舞楽図屏風」(醍醐寺蔵)。あとは源氏物語を描いた屏風にも舞楽が描かれていますね。そういう作品から知らず知らずに舞楽になじんでいたみたいです。

まあ、なじんではいても、なんにも知らなかったので、展示解説は勉強になりました。舞楽の演目には2系統があって、唐を経由して伝来したものを左方舞(左舞)、朝鮮半島(高麗)を経由して伝来したものを右方舞(右舞)といい、装束の色も前者は赤系統、後者は緑系統なんですって。ふむふむ。こういう豆知識っておもしろい。海外から伝わったから、舞楽面もエキゾチックで表情豊か。能面より親しみやすいです。

来週は春日大社のおん祭りをみに行く予定なので、ちょうどいい予習にもなりました。これを機会に日本の伝統芸能を見に行かないとなぁ。来年の「やることリスト」に伝統芸能鑑賞を入れたいと思います。


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色の博物誌-江戸の色材を視る・読む(目黒区美術館) [美術展]

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2016年10月22日(土)〜2016年12月18日(日)
目黒区美術館

絵の具や道具といった舞台裏をテーマとした展覧会。そういうことに興味がある人は多いのかもしれません。展覧会の評判もよいようです。でも私は心躍らず…作る過程はどうでもよく、できた作品で夢を見たいタイプみたいです。きっと自分に絵の才能が全くないので、制作に想像が及ばないのだと思います。

ただ、立原位貫氏の浮世絵復刻の試みは、制作過程そのものがアート作品といっていいほど。立原位貫氏はジャズサックス奏者から浮世絵の復刻作家に転身した異色の経歴をもつアーティスト。独学で江戸時代の道具や絵の具を研究し、その技法を習得したそうです。その作品は絵柄は同じでも、江戸時代に摺られた浮世絵とは全くの別物。鮮やかな色、から刷りの鋭さ、紙の質感、なにもかもが清新です。「東海道五十三次 蒲原」の夜の雪なんてあまりに静謐すぎる…。昨年、鈴木春信の復刻を手がけ始めた時に逝去されたそうです。本当に惜しいことです。

歌麿.jpg
山姥と金太郎(喜多川歌麿、下:立原位貫復刻)


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