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東寺の明王像「怒りと祈りの仏」(東寺宝物館) [美術展]

東寺の明王像.jpg
2016年9月20日(火)〜11月25日(金)
東寺宝物館

「牛」が大好きなので、牛(正確には水牛)に乗るお姿の「大威徳(だいいとく)明王」も大好きです。今回、東寺の「大威徳明王像」(国宝)が公開されると知って、ワクワクと会いに行きました。東寺の五大尊像は平安院政期に描かれた国宝仏画。つまり、大威徳明王の代表格といえます。だけどかなり退色が進んでいて、特に牛のお顔の部分の傷みが激しく、表情がよく分かりませんでした。唯一、口のあたりは残っていて、それがなんだか犬っぽい…。そう見ると、座り方も牛よりも犬みたいにかわいらしい。犬に乗った明王さま…、なんだかサイズ感も小さくなるし、迫力にかけちゃいます。光背も「火炎」というよりただの渦巻き模様。明王なのにちっとも怖くありません。宮廷付近で描かれたから優し気なのかしら。

東寺 大威徳明王.jpg
五大尊像 大威徳明王 平安時代(国宝)

この五大尊像、宮中で正月に行われた後七日御修法(ごしちにちのみしほ:天皇の健康を祈る密教の修法)で使われたものだそう。同じ用途のために一緒に描かれた「十二天像」(京都国立博物館、国宝)は3年前、京博の展覧会「国宝 十二天像と密教法会の世界」展でみたけれど、あまり上手とはいえないなぁ(というか下手くそ)と思った記憶があります(そのときの記事)。こちらの明王像も同じ感想です。

タグ:国宝
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つながる美・引き継ぐ心-琵琶湖文化館の足跡と新たな美術館(滋賀県立近代美術館) [美術展]

つながる美 引き継ぐ心.jpg
2016年10月8日(土)~2016年11月23日(水・祝)
滋賀県立近代美術館

タイトルからは分かりにくいけれど、仏像や仏画がメインの展覧会でした。展示品はすべて2008年から休館中の滋賀県立琵琶湖文化館の所蔵品。ようやくこれらの品々が2020年に県立近代美術館を再整備して開館する新美術館に引き継がれることが決まったそうで、そのご紹介をかねての展覧会とのことです。

展示室入口で出迎えてくれたのは、聖衆来迎寺(大津市)の銅造「薬師如来立像」。スカートの裾をつまむように、右手で衲衣の端を握っている珍しいお姿。と思ったら、次の若王寺(大津市)の「如来立像」も同じように裾を握っていました。裾つまみの仏像にはその他に岐阜の横蔵寺「薬師如来像」が知られるそうです。

ちらしのメインビジュアルを飾っている正法寺(大津市)の「木造帝釈天立像」は、飯道寺(甲賀市)の「十一面観音立像」とお顔が似ていらっしゃいました。穏やかで端正な美男子。滋賀の仏像は洗練されていながらもどこかおっとりとしていて、その微妙な塩梅が心地よく感じられます。

仏像以外では曽我蕭白の2作品が異彩を放っていました。水墨画「叡山図」は琵琶湖の対岸から比叡山を眺めた構図。これって雪舟の「天橋立図」と同じ視線です。蕭白の雪舟へのオマージュかしら。「楼閣山水図」屏風はウネウネとした筆致と所どころに差し込まれる朱色が生々しい。調べてみると、この屏風、辻惟雄先生の「奇想の系譜」にも掲載されている蕭白の真骨頂ともいえる1枚でした。こんなところで出会えるとは…。


楼閣山水図.jpg
楼閣山水図 曾我蕭白筆(近江神宮)


常々、滋賀県は「いいもの」や「いい場所」がたくさんあるのにPRが…と思っていたけれど、実際、こんなに量質ともに高い所蔵品の展示施設がないなんて、本当にもったいないことです。一日も早く、新しい美術館が完成し、再会が叶うといいなぁ。

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石山寺 本尊 如意輪観世音菩薩 御開扉 特別拝観 [寺・神社]

石山寺御開帳.jpg
平成28年3月18日(金)〜12月4日(日)
大本山 石山寺(滋賀県大津市)

秋の関西旅行。石山寺の秘仏公開と奈良博の正倉院展に行ってきました。石山寺のご本尊 如意輪観世音菩薩は33年に1度の御開扉ですが、2009年にも「花山法皇一千年御遠忌西国三十三所結縁総御開帳」がありました。私はこのとき拝観しているので7年ぶり2回目のお参りになります。でも、7年前の記憶はむなしくもほとんど失われていて、初見と変わらない拝観でした。

その秘仏の如意輪様は思っていた以上に大きく堂々としたお姿でした。足元をみると、安置される厨子は床がはられず、ゴツゴツした岩盤がむき出し。石山寺の名前の由来ともなった硅灰石(けいかいせき)です。如意輪観音像はその岩の上に薄い蓮華座をお座布団のように敷いて、半跏(右足をおろした状態)で座っていらっしゃいました。さながら岩の精といった力強さ。櫟野寺の十一面観音坐像のように男性的な観音様でした。ここでも観音=女性的という公式は成り立っていないようです。

さらに、今回のご開扉では本堂内陣の後ろ側(内々陣)まで行くことができ、ご本尊の胎内から発見された4躯の小型金剛仏(7~8世紀)も特別公開されていました。古代から続く「石」への信仰が金剛仏から如意輪観音へと続いていることがわかります。

そして、秘仏のご開帳以上に痺れてしまったのが、快慶作の多宝塔のご本尊 大日如来坐像。快慶らしいストイックなセクシーさ全開でした。多宝塔の奥に安置されているため、少し距離があり、それがもどかしい…。金網を破って中に入りたかったです。幸いなことに秋の行楽日和でお天気が良く、塔内を明るく照らしてくれていたので、比較的よく見ることができました。運慶作の円成寺大日如来像と並べてみてみたいなぁ。(画像はこちらから



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志村ふくみ-母衣(ぼろ)への回帰(世田谷美術館) [美術展]

志村ふくみ展.jpg
2016年9月10日(土)~11月6日(日)
世田谷美術館

「紬(つむぎ)」という言葉通り、一枚の紬から風景や四季や物語が紡ぎ出されていきます。新緑、紅葉、雪景色といった春夏秋冬、朝や夕景といった時間を描き分け、さらに源氏物語やリルケの詩までモチーフになっています。着物だから『形』はどれもほぼ同じなのにイメージは豊潤に広がっていく。『色』が綾なす世界にこれほどの創造力を感じたのは初めてでした。そしてこれらの色を生み出しているのは、草木からの自然染料。素材はごく限られていて、藍(青)、玉葱(茶)、ススキの仲間の苅安(黄)、梔子(黄)紅花、茜、紫根など。シンプルな素材に手間を重ねて生まれる紬が語りかける声に耳を傾ける…。初めての得がたい体験でした。

特に好きだったのは、琵琶湖の冬景色の写真を背景に展示されていた三部作「青湖」「雪炎」「蘆刈」。青色の琵琶湖は、志村ふくみ氏にとって「藍甕」のようなものだそう。染色家にとって藍甕は特別に神聖なもの。琵琶湖をイメージソースとして生み出された三部作は、琵琶湖の神様がまとうにふさわしい着物でした。

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企画展示「歌仙絵」(東京国立博物館) [美術展]

2016年10月18日(火)~2016年11月27日(日)
東京国立博物館 本館 特別1室・特別2室

有名な歌人とその和歌を一枚の絵に描いた歌仙絵は、今でいえばオムニバス盤のCDジャケットみたいなもの。平安時代中期、藤原公任がピックアップした三十六歌仙が有名ですが、三十六歌仙の似顔絵を描くようになったのは平安後期になってからだそうです。

数多く描かれている三十六歌仙絵ですが、その白眉は最古の遺品といわれる「佐竹本三十六歌仙絵巻」。大正時代に売り出されたとき、あまりに高価で買い手がつかず、結局、切断されてしまったのはよく知られたエピソード。なんと、今では所在不明になってしまった断簡もあるそう。今回の特集展示では、その佐竹本から5幅(坂上是則、住吉大明神、小野小町、壬生忠峯、藤原元真)が出品されていました。

その他にも、上畳本(畳の上に座っている)や業兼本(平業兼が描いたらしい)、後鳥羽院本(後鳥羽院の真筆)など、いろいろな三十六歌仙絵がありました。男性メンバーは同じような風貌でキャラ付けが薄いように見えるけれども、よくよく見ると見分けられるようになるのかもしれません。そして面白いなと思ったのは、佐竹本では歌仙の「手」は描かない、ということ。みなさん、袖の中に手を隠しています。なんだか神像みたい。当時の人々にとって、いにしえの歌人たちはもう神様みたいなものだったのかも。


小大君.jpg
小大君(中山養福模)


坂上是則.jpg
坂上是則(中山養福模)


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禅-心をかたちに-(東京国立博物館) [美術展]

禅展.jpg
2016年10月18日(火)~2016年11月27日(日)
東京国立博物館 平成館 特別展示室

春に京都国立博物館で開催された「禅展」が東京に巡回(京博「禅展」の鑑賞記)。東京のみの出品も多く、展示構成もかなり違っていました。もちろん東博の方が圧倒的な試合巧者。練られ方が違います。その東博のプロデュース力をもってしても、禅の美術品って見せ方が難しいです。展示の前半は禅僧の肖像画(頂相)や書(墨蹟)。史料的には価値があるのかもしれませんが「華」がありません。一方、後半は戦国武将と禅僧の関係をフィーチャーしたり、白隠や仙厓といった漫画的な禅画をピックアップしたり、鑑賞者にぐっと近寄って楽しめる内容でした。

そして地味な頂相の中、修理後初公開の「蘭渓道隆」の肖像彫刻には心引かれました。テカテカだった茶色の漆が取り除かれて本来の木地が現れ、ぼてっとしたお顔がシャープに。賢明ながら温かみのあるとても良い人相です。蘭渓道隆は鎌倉時代に南宋から渡来した禅僧で建長寺の開山ですが、現代なら教養あふれる大学教授といった印象。なんとなく歴史学者の五味文彦先生(放送大学教授・東京大学名誉教授)に雰囲気が似ていらっしゃいました。(1089ブログに修理前後の写真が掲載されています。)

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鈴木其一 江戸琳派の旗手(サントリー美術館) [美術展]

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2016年9月10日(土)~10月30日(日)
サントリー美術館

其一祭り。あっちもこっちも、其一。アナザーワールド感がすごくて、展示室の時空もねじまがっているようでした。其一のおそろしいところは、奇想の画家なのに自分ではその奇抜さにまったく自覚がなさそうなところ。狙ってるのではなく、意図なく異次元に突き抜けています。圧倒的な存在感で迫ってくる「朝顔図屏風」や「夏秋渓流図屏風」のような大作はあまりに刺激が強すぎて、小さな掛軸を念入りに鑑賞しました。描表装(かきびょうそう:表装の部分にも絵を描く一種のだまし絵)といった仕掛けがこらされていてユニークでした。

お気に入りの掛軸3点:

「秋草に月図」(個人蔵)
絵の上下の赤い帯の部分(「一文字」というらしい)に小さな兎が1列に並び、その周りの部分(「中回し」というらしい)には大きく薄(ススキ)が描かれています。この兎さん、解説がなかったら気が付かないほどだけど、一匹一匹ちがっていてかわいらしい。

「月に秋草図」(岡田美術館)
其一が「月」、息子の守一が表装に「秋草」を描いた親子共作。秋草がフェードインしてくるようです。

「雪中檜図」(個人蔵)
檜から雪が落ちる瞬間を描いていながら、動きというものが感じられず、不思議な魅力でした。

これまでの其一鑑賞記
 岡田美術館所蔵 琳派名品展 〜知られざる名作初公開〜
 ファインバーグ・コレクション展 -江戸絵画の奇跡-

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高島屋史料館所蔵 日本美術と高島屋〜交流が育てた秘蔵コレクション〜 [美術展]

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2016年10月12日(水)~24日(月)
日本橋高島屋8階ホール

明治以降の大御所たちの日本画が目白押し。すべて高島屋が所蔵するコレクションだなんて驚きました。高島屋は染織品や劇場の緞帳下絵を日本画家に依頼したり、再興院展を支援したりしていたんですって。横山大観、竹内栖鳳、鏑木清方、富岡鉄斎から平山郁夫、東山魁夷らの作品が大阪にある高島屋史料館に収蔵されているそうです。

京都画壇の作品が多いと思ったら、高島屋は京都が創業の地なんだそうです。知りませんでした。三越や大丸が時代にあわせてシフトチェンジしているのに対して、高島屋は変わらず優雅な百貨店の姿を保っていると思っていたけれど、京都生まれのプライドがどこかに残っているのかも。この催し物もなんと「無料」でした。

印象に残った作品は川端龍子の巨大な屏風絵「潮騒」。エメラルドグリーンがとても美しい平和な海の景色ですが、この作品をもとに高島屋がつづれ織りの壁かけを制作し、なんとヒトラー総統に贈ったそうです…。マイフェイバリットは大阪 毎日ホールの緞帳下絵として描かれた前田青邨の「みやまの四季」。半月形の満開のピンクの花木が画面いっぱいに描かれています。よく見ると、梅、桜、紅葉した楓、椿、藤が狂い咲きする中、たくさんの鳥たちが飛び交い、リスまでいます。なんだか桃源郷みたいに幸せな1枚でした。緞帳の実物も見てみたいなぁ。


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前田青邨「みやまの四季」


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