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よみがえる仏の美~修理完成披露によせて~(静嘉堂文庫美術館) [美術展]

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2016年4月23日(土)~6月5日(日)
静嘉堂文庫美術館

伊藤若冲の「釈迦三尊像」(京都・相国寺蔵)を見たとき、そのあまりにも男性的な文殊・普賢菩薩のお顔に若冲が結婚しなかった理由がわかった気がしました(そのときの記事)。その若冲が写したといわれる三尊像が東福寺に伝来した伝 張思恭「文殊・普賢菩薩像」。今は静嘉堂文庫の所蔵となっていて、今回の展覧会でみることができました。確かに同じような男性的な菩薩像。張思恭は、南宋時代に阿弥陀画像を専門に手がけていた仏画師だそうです。ちなみに、中尊の釈迦如来像はクリーブランド美術館にあるとのこと。若冲は東福寺でこの釈迦三尊像をみて感動し、釈迦三尊像と動植綵絵を描き、相国寺に寄進したのです。あの大仕事のきっかけがこのオジサン顔の菩薩像だったということは、やっぱり若冲は男性好きだったのではないかしら。そんな妄想を楽しみました。

普賢文殊.jpg
伝 張思恭 文殊・普賢菩薩像


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伊藤若冲 釈迦三尊像


仏像では、「大仏師運慶」という銘文が像内にあったことが明治時代の新聞からわかり、最近話題になっている「木造十二神将立像」が出品されていました。修理を終えた4軀(寅神像、卯神像、午神像、酉神像)が初披露。この4軀中に銘文はなかったそうですが、残りの3軀の調査はこれからだそう。ちなみに京都・浄瑠璃寺旧蔵で、残りの5軀は東京国立博物館の所蔵。そういえば、常設展で見たことがあります。うーん、運慶作というには躍動感が乏しいような…。でも顔の表情は魅力的でした。今後の調査が待ち遠しいです。

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生誕300年記念 若冲展(東京都美術館) [美術展]

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2016年4月22日(金)~5月24日(火)
東京都美術館

釈迦三尊像と動植綵絵30幅が一挙公開。見れば見るほど細かくて、ここまで書き込まなくちゃいられない強迫観念って、もう病んでいるとしか考えられません。花は満開に咲き誇っていても、葉っぱは虫食いや病気の斑点だらけ。あまり見ていて楽しくない絵です。

一方、水墨画や版画には素敵なものがありました。平木浮世絵財団の花鳥版画、京都国立博物館の乗興舟、京都両足院の雪梅雄鶏図、大阪西福寺の蓮池図など、静けさを描いた作品が好きでした。

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花鳥版画


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ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞(Bunkamura ザ・ミュージアム) [美術展]

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2016年3月19日(土)~6月5日(日)
Bunkamura ザ・ミュージアム

キャッチーなコピーやかっこいいイメージの広告展開が目をひきます。渋谷という立地もあって若者も多く、「展覧会」というより「イベント」みたいでした。国芳の作品は見ているものがほとんどだったのに対し、国貞はノーマークだったので未知の作品ばかり。今は北斎や広重の陰に隠れていますが、当時は国貞が一番人気の浮世絵師だったそうです。

でも、国芳の武者絵は特撮みたいなものだからストーリーが分からなくても楽しめますが、国貞が得意とした美人画や役者絵って、当時はブロマイドやグラビア的な意味合いがあったのだろうけど、今となっては元ネタが分からないから興味が持ちづらい。解説文は江戸の芸能界を詳しくひも解いてくれていましたが、歌舞伎役者は同じような名前が多くて、こんがらがって混乱するばかりでした。名前は分からなくても、千両役者揃続絵の斜めのパステルストライプ柄の背景はモダンで素敵です。

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歌川国貞 千両役者揃続絵


あと、眼福だったのは、長州藩主 毛利斉元が特別に作らせたという限定品の役者摺物。今回、6枚が出品されていましたが、さすが大名の私家版、普通の浮世絵とは一目で違う高級感が漂っていて、ウットリと見とれてしまいました。これらは毛利斉元のペンネームから「柳桜亭江戸廼花也の狂歌摺物」と呼ばれているらしいです。小さめの正方形の版で、桜が蝶の形をした朱印が押されているのがその印なんですって。このシリーズ、他の作品も見てみたいなぁ。

柳桜亭江戸廼花也の狂歌摺物:歌川国貞 しだれ桜下の助六図(ボストン美術館HP)

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日本仏像史講義(平凡社新書)山本勉 [本]


日本仏像史講義 (平凡社新書)

日本仏像史講義 (平凡社新書)

  • 作者: 山本 勉
  • 出版社: 平凡社
  • 発売日: 2015/05/17
  • メディア: 新書

引き締まった筋肉質の文章がいいです。内容は一般的な仏像史の本と重なるのは当然のこととして、過不足なく、書くべきことは書き、余計なことは書かない。そのストイックな取捨選択に対して平身低頭です。抑制された語り口ながら、たまに著者の熱い気持ちがちらりとのぞいたりして、それにまた心をくすぐられました。
最新の研究から得られた知見も盛り込まれていて、仏像の初心者はもちろん、ディープな仏像好きも満足できる内容だと思います。仏像の写真がみたい場合は、別冊太陽版があります。そして写真をみたら、実物がみたくなり、旅にでる楽しみがまた増えました。

 見たい仏像リスト 
 ・奈良 安産寺 地蔵菩薩立像
 ・京都 東福寺塔頭・同聚院 不動明王坐像
 ・栃木 輪王寺護摩堂 慈眼大師坐像

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開館50周年記念 美の祝典Ⅰ-やまと絵の四季(出光美術館) [美術展]

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2016年4月9日(土)~5月8日(日)
出光美術館

開館50周年記念で出光美術館の優品が一挙大公開。三期に分けた第一弾のテーマは「やまと絵」。「浮世絵」や「琳派」は絵師の名前や代表作が思い浮かびますが、「やまと絵」はどんな絵がそう呼ばれているのかイメージが湧きません。教科書的には中国風の絵画「唐絵(からえ)」に対して、日本の風景や風俗を描いた絵画が「やまと絵」。範囲が広すぎです…。

でも、日本美術の展覧会に通うようになって、知らず知らずに魅了されていたのが「やまと絵」の屏風。ファンタジックでシュルレアリスムな世界観を持っていて、大好きになりました。右隻に春の桜、夏の水辺、左隻に秋の紅葉、冬の雪景色が描かれ、屏風の中を季節がうつろいゆきます。不思議な形の山々や木々、たまに置物みたいな鳥や鹿、人々は描かれず、入ってはいけない別世界に誘われるようです。

今回の展覧会では重要文化財の「日月四季花鳥図屏風」と「四季花木図屏風」が出品されていました。桜、松、竹、梅、楓、雉の親子、鹿、太陽、月、秋の草花…、おなじみの自然を描いていても超現実的でまるでワンダーランド。やまと絵屏風には病みつきになる中毒性があります。

一方で、やまと絵屏風とは似ても似つかない絵巻物や似絵も全部「やまと絵」なんですよね。もうちょっといい分類の仕方はないものなのか…。このワンダーランド屏風も良い名前を付されることによって、琳派や浮世絵に引けを取らない魅力が再認識されるんじゃないかなぁ、と愚考しました。

そのほか、興福寺伝来の「絵因果経」(奈良時代)、内山永久寺伝来の「真言八祖行状図」(平安時代)などの仏教美術絵画もありました。これらも「やまと絵」なのかな?

そして50周年記念の目玉は国宝「伴大納言絵巻」の10年ぶりの公開。Ⅰ期は上巻の展示です。火事の野次馬一人ひとりが個性的に描き分けられていて、群像表現の巧みさが際立っています。一体、放火の真犯人は誰なのか?これからの物語展開も楽しみです。


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伝 土佐光信 四季花木図屏風(部分)


タグ:国宝
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ジョルジョ・モランディー終わりなき変奏(東京ステーションギャラリー) [美術展]

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2016年2月20日(土)~4月10日(日)
東京ステーションギャラリー

20世紀前半に活動したイタリアの画家ジョルジョ・モランディ(1890~1964)。20世紀最高の画家の一人という触れ込みですが、初めて知りました。ビンや器をモチーフにしてその位置を少しずつ変えながら、同じような絵を何枚も描いています。なんだか間違い探しみたい。そしてはっきり言っちゃうと、誰にでも描けそう…。というのも、この展覧会に足を運んだきっかけがチラシの「静物」の絵をみて、中2の時に描いた静物画を思い出したから。目の前にある花瓶やコップをとにかく忠実に描いた中2の静物画が唯一、絵の才能に見放されている私にとって上手に描けたと思えた絵でした。その忘れがたい1枚がモランディっぽいのです。

そう、モランディにとって才能とかセンスは関係ないみたい。自分の道を行く独自のスタイルを貫く生き方の方に重きが置かれています。それで20世紀最高の画家の一人になっちゃうんですね。なんだか、腑に落ちないような気もします…。

でも会場は激込みで、日本美術の展覧会では見かけないおしゃれな若者が目につきました。モランディの絵よりもおしゃれな若者たちの服装やアクセサリーの方に気がとられて、それはそれで楽しめました。


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バンクシー・ダズ・ニューヨーク [映画]


Banksy Does New York [DVD] [Import]







公式ホームページ

久しぶりに映画を見に行きました。英国人の覆面芸術家バンクシーがNYで仕掛けたパフォーマンスを追ったドキュメンタリー映画です。といっても、映画の制作にバンクシー自身は関わっていません。そもそもこのバンクシーというアーティスト、本名も出身地も不明だそう。誰にも気が付かれず、世界中いたるところに出現し、世相を風刺する刺激的な落書きを描いているんですって。現代社会のおとぎ話みたいです。

で、この映画は2013年10月、バンクシーがNYの路上で毎日1点ずつゲリラ的に作品を発表していった1ヵ月を追った狂騒劇。とても面白かったけど、深く考えずにはいられませんでした。作品予告はインスタグラム、熱狂した人々は作品を追いかけ写真を撮ってツイート、マスコミでなくSNSを使ったPR方法がこの現代ならではです。一方で、作品を持ち去る人、儲けようと画策する人など、いつの世も変わらない人間の性も映しだされる。根が深いのは正当の美術評論家たち。この騒動をなかったもののように無視していたんですって。なんだかがっかり…。

でも、そんなことはバンクシーにとってはどうでもいいことなのかもしれません。ある日のパフォーマンスは、セントラルパークでバンクシーの作品を60ドル(現在の評価額は数万ドルだそう)で路上販売する、という動画作品。全然、売れない…。1日で8枚しか売れなかった…。そんなもんですよね。完全に手玉に取られてる感が満載。バカにされているのか、慰められているのか、ふざけているのか、真面目なのか、よく分からない。でも、ちょっと危なっかしくて、ナイーブなところに惹かれてしまいます。このおとぎ話がいつまでも続きますように。そして、今は無視されていても、100年後には名前を残していてほしいなぁ。


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ガレの庭 花々と声なきものたちの言葉 | 没後100年 宮川香山 [美術展]

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2016年1月16日(土)~4月10日(日)
東京都庭園美術館(本館・新館)

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2016年2月24日(水)~4月17日(日)
サントリー美術館

エミール・ガレはアール・ヌーヴォーを代表するフランスのガラス工芸家、宮川香山は明治時代の陶工です。この春、二人の展覧会が東京庭園美術館とサントリー美術館でほぼ同時期に開催されました。ガラスと陶磁器という違いはあるけれども、器の表面に生き物や草花を装飾する造形に共通点があります。ガレは1846年生まれ、香山は1842年生まれのたった4つ違い。2人の作品にはお互いの影響があったのでしょうか、あったとしたらどちらがオリジナルなのでしょう。

私自身、ガレは知っていましたが、宮川香山のことは名前さえ知りませんでした。知名度ではガレが勝っているし、香山の方がガレの影響を受けたのかと思っていたら、実際はその逆でガレの方が香山が生み出した真葛焼にインスパイアされたらしいです。ジャポニズムって浮世絵だけかと思っていたら、こんなところにまで及んでいたのですね。

宮川香山の器に施された猫や蟹や植物の精緻なことったらありません。まるで動き出すんじゃないかと思うような写実性の高さ。アーティストというより職人芸です。一方、ガレの器は単なる装飾というよりも哲学的な世界観を表すものとして蛙や昆虫のモチーフを使っています。作品に詩文が付されているものも多く、職人というよりアーティスト。この2人のスタンスの違いって東洋と西洋の違いなのかしら。展覧会が重なったのは偶然なのでしょうが、面白く見比べることができました。しかし、香山の器もガレのガラスも、実用には向きませんね。


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東大寺 修二会 [寺・神社]

修二会といえば、TVのニュースにもなるお松明が思い浮かびますが、これは練行衆(れんぎょうしゅう、修二会を行う行者)が二月堂に上堂するための道明かり。修二会の本来は練行衆が本尊十一面観世音菩薩に懺悔するための行法なんですって。

今回の旅の目的はこの行法を見ること。お松明は過去2回見たことがありますが、行法は初見です。夜中中、11人の練行衆によって行われる行法とはどんな雰囲気なのか、そして何を感じるのか、どきどきの初参加です。

1日目は土曜日。お松明からすごい人出でした。女性は二月堂の内陣には入れないため外側の局(東西南北の4か所あります)での聴聞になりますが、どこの局も人であふれていて足の踏み場もないほど。正面にあたる西の局にようやく狭い場所を見つけ、身を縮こませて座りました。練行衆の声明とカーテン越しに見える神秘的な動きに釘づけ。法螺貝はインドの寂しげなメロディー、鐘の音はまるでガムランというようにとてもアジア的でエキゾチックな声明です。香水授与では皆さんの必死の形相にたじろいで前に出ることができませんでしたが、トリップ感に満たされていい気分でした。その日は実忠忌と過去帳の読み上げがありいつもより長丁場でしたが、あっという間に夜中の3時半。オリオン座を眺めながら4時前にホテルに帰りました。

2日目は東の局へ。前日と違ってほんの数人しかいません。東の局は裏側だからかリラックスしてしまい、畳の上でストレッチしながらのびのび過ごしました。その日の法螺貝は調子外れで思わず笑ってしまったり、足を崩して壁に寄りかかりながら目の前を走りすぎる練行衆を眺めたり、かなりいただけない態度。厳粛な雰囲気に緊張を強いられるのかと思っていましたが、全くそんなことはなく、この世というより別の世にいるようでうっとりと夢うつつで魂が解放されていく心地よさ。(でも、周りは真剣に姿勢を正して聴聞されていて明らかに温度差があったので、これは個人的な感想です。)この日の行は深夜1時30分まで。留守になる二月堂に鳥天狗が入らないよう、練行衆が「手水、手水(ちょっとトイレだからね。)」と言いながら下堂していくのもおかしかったです。

国家安穏を祈願する行法が1200年以上も欠かすことなく続いているのもすごいですが、ただ厳粛なだけでなく音楽や映像などエンターテイメントの要素にも魅了されました。来年以降も年参したいなぁ。

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